奇面館の殺人(上)(下)/綾辻行人/講談社文庫

綾辻の熱烈ファンというわけではないから、分厚い暗黒館をスルーしたため、
10年ぶりくらいに読んだかもしれない館シリーズ


それでも本格ミステリファンにとっては期待と安心のシリーズであり、
15年~20年近く前に読んだ初期の館シリーズと比しても遜色ないどころか、
その奇抜な設定にあっても、明快なまでにオーソドックスな本格なところは嬉しい作品だったと言える。

奇面館の主人は自分も含めて顔の表情に恐怖する人間。それでいて自分そっくりな人間を捜し求める血筋だった。
その手段として自分の誕生日に近い者を館に招き入れたのだが、そこで予期せぬ殺人事件が勃発する。両手と首が消失した死体となっていたのだ。しかも招待客達は寝ている間に鍵付の仮面を取り付けられているという怪奇。

東京郊外にして10年に一度の大雪のため脱出不可能な真冬の山荘と化した邸内で行ったこの奇々怪々な事件の真相とはいかなるものだったか。


tag : 本格 新本格 綾辻行人 館シリーズ

ダブルミステリ/芦辺拓/東京創元社

2つのタイトルを持つ作品が表と裏に配置。複数のプロットが平行して展開していく作品は数多いが、このように明確に作品タイトルをわけたものが表裏に配置され、そしてだからこそのトリック効果を生み出しているとは恐るべき作品

本格ミステリの新境地を切り開いているといっても過言ではない。

表は「月琴亭の殺人」という表題であり、お馴染みの森江春策が冒頭から登場するオーソドックスとも言える孤立した館もの。
不思議な手紙につられて森江弁護士をはじめとする人々が館に招かれ、そこに彼らから裁判等で恨みを買っている裁判官も来ているという展開。

裏は「ノンシリアル・キラー」という表題であり、表の半分ほどの分量となっている。ブログ形式で当然一人称。元恋人の死から電車内での怪死事件から不思議な事実が判明していくというサスペンス。

個人的理由もあって、袋とじの解決編ではニヤリとせずにはいられなかったことを記しておこう。


楽譜と旅する男/芦辺拓/光文社

楽譜を巡る短編集。その楽譜と旅する男の神秘的な設定、そしてそれまでの事件を踏まえた上での最後の事件での談話が楽しい。

収録作品は物悲しい「曽祖叔母オパールの物語」、天高い「ザルツブルクの自動風琴」、幻想の高みへ「城塞の亡霊」、 現実の戦慄「三重十字の旗のもとに」、白昼の夢「西太后のためのオペラ」、ラストに相応しい心地よさ「悲喜劇ならばディオラマ座」。

神秘と幻想、そして悲しさも混ざる現実、これらが作品ごとに比率を全く大きく変えつつ全てが違うテイストになりつつも、楽譜と音楽という共通テーマで成立する美しい統一に満ちた作品集といえよう


蟇屋敷の殺人/甲賀三郎/河出文庫

胴体が首が日本刀でスパッと切り離した死体が東京のど真ん中で発見されるという冒頭。
しかもその死体と思わしき熊丸猛が別に生きているというのだがら既に奇々怪々なのだ。

その熊丸の屋敷が蟇屋敷であり、多数の蟇が邸内に飼われているという異常な屋敷となっている。
主人公の探偵小説家は、かつての教え子の娘が蟇屋敷で秘書をしたこともあり、事件に深く関わろうとするが...
という展開。

東京横浜大阪と舞台は幅広く、主人公たちは危機一髪の連続。白い顔の謎、蟇屋敷の謎、熊丸猛の謎、教え子の娘の謎、 熊丸の奥さんの謎、結局、なんだったのかよくわからない不可思議な謎も割と残るのだが、それも踏まえてもなかなか読ませる甲賀三郎の探偵小説のエッセンスが贅沢につまった探偵小説といえよう。

昭和13年という探偵小説が書きづらくなりつつある時代にあって、予想の一歩上を行く探偵小説だ。


明智小五郎事件簿Ⅰ/江戸川乱歩/集英社文庫

久々に乱歩を再読したくなり、懐かしの平山雄一氏の年代記付きだったので、本シリーズを新規購入。

やはり江戸川乱歩を読むと、凄みも小説としての読みやすさも群を抜いていると思わずにはいられない。

収録作は「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」。特に「心理試験」「屋根裏の散歩者」の 完成度は改めて読んでも圧倒的だ。

本シリーズは時代の流れを読めるので、その点も楽しい。

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