透明人間大パーティ/講談社文庫/鮎川哲也編

様々な意味の透明人間ものを集めたアンソロジー。

槙尾栄「透明の人間」は戦前発表の異様な感じを受ける作品である。チグハグな展開は否めないが決して便利ではない透明人間の悲哀が痛々しいのである。

海野十三「赤外線男」はお馴染みの末恐ろしい犯罪作品で心理的妙技が見事であり意外な犯跡と犯人も楽しめる作品になっている。

香山滋「白蛾」は保護色的透明という興味もだがその成り立ち具合がさすが香山と言った仰天するものだ。

モンキーパンチ「Mr.とうめい」は漫画であるが有名人のものだけに非常に興味深い。

天城一「高天原の犯罪」はこれもお馴染みであった。本来は本格推理に相応しい会心の作である。そこに出て来る透明人間ももちろんチェスタトン風の意味合いであるのは言うまでもあるまい。

草野唯雄「透明願望」はまさにタイトルのごとしで見せ方は巧み。

手塚治虫「傍のあいつ」は透明人間を一歩進めた形の脅威の感覚というべきもので、偏執狂の主人公と相まって効果は抜群である。

都筑道夫「透明人間がやってきた」はジュブナイルらしくもそのタイトルも効果的なミステリと言える。

赤川次郎「見えない手の殺人」は人間の精神力の儚さを感じさせるごく普通のミステリー。

横田順彌「見えない敵」はユーモア編である。新居に透明人間が勝負を挑んでくる自体がユーモアであるのに最後までユーモアなのだ。

最後は江戸川乱歩「透明の恐怖」。まさに本書のラストの透明の怪談を解説するのにこれほど相応しい随筆もないだろう。
(2006年9月読了)
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ジャンル : 小説・文学

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