スイス時計の謎(講談社文庫/有栖川有栖)

たまに有栖川有栖のオーソドックスな本格物が読みたくなる。読後にあらためて思うと、それが正しい認識だったことがよくわかる。

「あるYの悲劇」「女彫刻家の首」「シャイロックの密室」「スイス時計の謎」の四つの中短篇を収録。
「あるYの悲劇」はダイイングメッセージもの。ダイイングメッセージと言えば月光ゲームを少し思い出すが、この作品は納得できる必然性を備えている。
「女彫刻家の首」は首の無い死体もの。まさにこれぞオーソドックス。
「シャイロックの密室」は密室物。倒叙らしいが手法は中途半端にも思える。これもオーソドックス。
これまでの3つは可もなく不可もない読みなれた本格物と言えるだろう。
「スイス時計の謎」。これは作中でも述べられているが悪魔的までに論理的に犯人を指し示すという恐るべき作品。紛失または粉砕したスイス時計だけという物的な決定的証拠にはなり得ない材料だけで、論理的には決定的証拠となってしまうのには舌をまくしかない。
どうでもいいが、文庫本裏表紙の文章はあまりにも的外れな本書の説明書きでよろしくないのはいただけない。
(2007年1月読了)
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ジャンル : 小説・文学

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