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愛国者 東洋出版 深草淑子

あの甲賀三郎の次女のなんと79歳にしての処女作。内容はその大仰なタイトルに対しては比較的まともというべきか。むしろ私的には序盤が多少苦しかったが、その後は楽しんで読み進めることが出来た。大元になるネタ、架空の異国の扱いとトリックどれも巧く処理できているではないか。


ただ現在が舞台で、主人公が二十代中後半という苦しい設定のため、主人公など若者キャラや携帯などの現在文化に対しては、主役と同世代の目から見ると、多少ズレた所もあるな~という結果になってしまった。もちろんその努力こそは凄いとしかいいようがない所だ。

話は恋人とちょっとした微笑ましいいざこざがあって、しばらく離れて生活したくなった主役の栽子が何を思ったのか、いかにも怪しげなバイト先として、長崎の離れ小島に、マイナー王国の王位継承者の家庭教師をすることになったところから動き出す。この発端では最初の家庭教師先の説明口調の所はちょっと苦しく本篇最大の難点かも知れない。その後、その家庭教師先の王国の関係者たちが謎の死が遂げていく。そして殺人事件の嫌疑までに発展。

推理小説のテーマとしては良い所をついたとは思う。が、そのテーマと主役たちとの関わりもまた取って付けた感もあるので、このあたりは序盤に納得いく説明を付加できれば良かったと思われる。いずれにせよ全体のバランスに比して、序盤の雑さが目立つため、架空の外国人登場人物や中年などの性格づけは良いとしても、主要な日本人登場人物の性格付けが粗雑になって、感情移入しにくくなってしまった点が勿体ない所だと思われる。

さいごに個人的な思いだが、せっかく甲賀三郎の名前を帯に記したのだから、それなりのサービス精神があっても良かったのではなかったのかと思う。ちょい役に期待した手塚龍太や葛城春雄や獅子内俊次らが顔を出すことがなかったのは残念至極だ。むろん舞台を現在に取っている以上は仕方のないかも知れないが、やはり多少残念に思えた。もちろんこの本の存在そのものがサービス精神だと言うことは重々承知はしているのは特筆せねばならないのは言うまでもないことだが、やはりファンというものは贅沢なもんなのだ・・・。
(2004年10月読了)
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テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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