平林初之輔探偵小説選II 論創社 平林初之輔

この2冊目には創作編、翻訳編、評論編に分かれている。

まず創作編の「アパートの殺人」「夏の夜の冒険」「二人の盲人」「鉄の規律」「謎の女」「悪魔の聖壇」「呉田博士と与一」。
「アパートの殺人」は殺人動機が面白いという点がまず挙げられる。麻薬中毒の女には多数の恋人がいたのだが、その情夫が殺されるという事件。恋人たちが容疑者に上がるが、と言う展開。
「夏の夜の冒険」は実話仕立てで読後感は恐怖に満ちている。現在でも実の親子でも通じそうな生々しさすらも感じる所が恐ろしい。名ばかりの保護者に対する問題提起である。
「鉄の規律」は祕密結社もので鉄の規律と親子という板挟みの展開。解説で読んだら平林自身が共産党員だった時期があるらしく興味深い。
「二人の盲人」はある盲人が、妻と友人の盲人に対して抱く病的な妄想が爆発してしまう心理が面白い。「謎の女」は知り合ったばかりの女に短期間偽装夫婦を演じてくれという頼まれる話だったが、遺稿中絶作となっている。
「悪魔の聖壇」はほんの短いものだが、悪魔の牧師を描いたもので、そこでの罪の告白の悲劇。
「呉田博士と与一」は少年物で、幼児誘拐事件を矛盾から解決するもの。

翻訳編は「鍵」「ジヤックリイン」。
「鍵」は金庫に忍び込んで大泥棒を実行するも、本気で気の毒になってしまう灯台もと暗しの前に犯人の運命は正しい方向へ流れてしまう。

評論随筆編はタイトルは省略するが、もっとも興味深い文章は健全派、不健全派に触れた所だろう。今日にも生きる本格の命名の前身がここにある。
(2004年4月読了)
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テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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