碑文谷事件 出版芸術社 鮎川哲也

鬼貫警部全事件1。
全てを読み返したわけではないが、と前置きをしつつ。

まず「楡の木荘の殺人」「悪魔が笑う」と満州ハルビン時代における鬼貫警部シリーズが二本。
「楡の木荘」では鬼貫は顔見知りの貴族娘から電話で呼ばれる。しかも楡の木荘で異常事態が起こったらしいのだ。人が倒れ白いペンキをあびているという不思議。そしてメッセージを残しての自殺事件があるもそこに矛盾が・・・。
「悪魔が笑う」の方は悪魔の笑い声と共に銃殺事件が発生! しかも最期の言葉より犯人も明か。しかし不可思議な事にその名指しの犯人には絶対的なアリバイがあったのである、と言う展開。
いずれも論理色豊かで佳作であろう。

「碑文谷事件」は鉄道アリバイで絶妙な錯覚が秀逸。
「一時一〇分」は正当な面白みに欠けるトリックで明らかなる凡作。
「白昼の悪魔」時間トリックが面白いアリバイ物。
「青いエチュード」は乱歩の十字路(映画「死の十字路」)に関わらせた完全犯罪倒叙物。
「誰の屍体か」は発射直後の拳銃、紐、硫酸の瓶の三種が別の三人へ送られ、その後、それを使ったと思われる惨死体が発見されるが、誰の屍体かで紛糾する作品で、犯罪の隠し方が圧巻の佳作。
中篇版「人それを情死と呼ぶ」は当然長篇と同じプロットではあるが、犯人を知っていても、楽しめるという証明をしてくれた作品。腐乱した情死体から導かれる推理と、意外な真相。
(2003年6月読了)
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ジャンル : 小説・文学

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