名探偵 木更津悠也/カッパ・ノベルス/麻耶雄嵩

名探偵・木更津を主人公にした短篇集。
全作に白幽霊が登場したりするので連作短篇とも言えるだろう。麻耶雄嵩らしい奇矯な事件というでもなく、全作表向きは、まともなオーソドックスな事件である。

「白幽霊」は遺産相続を巡った毒々しい家庭内争いの最中、殺人事件が発生。証言の食い違いの中、いかに解決するか? と言う話。

「禁区」は高校の文芸部で殺人事件が発生。その前提として部員たちは白幽霊をハッキリ認識してしまうという事件があり、禁区が生じてしまうが・・・と言う内容。

「交換殺人」はその名の通り交換殺人がテーマなのだが、酔った勢いで真には望まぬ交換殺人引き受けてしまった男が、その殺す相手が自分の手以外で殺されてしまい焦ってしまうところから始まる事件。

「時間外返却」は一年前に大学生の失踪していた娘が死体となって出てきたのを契機に犯人を見付けようとした親の依頼を木更津が引き受ける。娘の陰の恋人がキーになったが、これもまた白幽霊が絡んでいるというもの。


なお、ワトスン役の香月君は崇高な理想的名探偵像を心に秘めている。
「翼ある闇」の通り、推理力はズバ抜けているこの香月君。しかし彼はあくまで裏方のワトスン役に甘んじ、表舞台の名探偵役を木更津に譲っている。
というのも香月君の持つ名探偵像と満たすには推理力は必要条件の一つに過ぎず、他にも何らかの風格とか資質とか強い信念のようなものも必要であり、香月君自身にはつまり名探偵たる資格がないと判断されたからだ。
「翼ある闇」や「木製の王子」でお馴染みの木更津名探偵が主役のこの短篇集、影の主役の香月君がいかに努力して惚れ惚れする名探偵を構築しているかがわかるだろう。
よく言えば、まるで親が小さな子を必死に導いて、少しでも理想に近づけようとしているかのように。 って、実際は凄い嫌悪感であるから注意が必要だ。「名探偵コナン」のコナン君に匹敵するぐらいタチが悪いとしか言えないのである。あの何もかも僕の手のひらの上で踊っているに過ぎないダヨと言った傲慢がそこには垣間見えなくもないだろう。まぁ、育成ゲームのプレイヤー視点だから当然と言えば当然なのだろうが。
(2004年6月読了)
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テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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