三百年の謎匣/芦辺拓/角川文庫

大富豪で大企業のトップの老人が遺産相続の件で森江春策法律事務所を訪問するが、その帰路、袋小路にて銃殺されてしまうという発端。
その富豪が残した手書きの不思議な書物。それが本書の大半を占める物語集、三百年の謎匣なのだ。
次の作品で構成されている

・新ヴェニス夜話(1709)
・海賊船シー・サーペント号(1721)
・北京とパリにおけるメスメル博士とガルヴァーニ教授の療法(1788, 93)
・マウンザ人外境(1878)
・ホークスヴィルの決闘(1891)
・死は飛行船に乗って(1937)


おかしな構成の長編ミステリだな、と思いつつ読み進めていった。目次を見るとその奇抜さに驚くしかない。 それぞれが独立した18世紀~20世紀の魅惑的な時代物語でミステリであり、それぞれ完結をしている一方で、真相の一部は書かれず仕舞いである。

その未解決という点が各短編を読み終わった後にも強烈な余韻として残り、 最後の森江春策が謎を解き明かしてくれるところで、まさかの一本線というところが、大きな効果を生んでいる。

まさに見たこともない新種のミステリだ。何という博覧強記。この300年、世界中、空海陸川を舞台にした作品を、一冊の本格ミステリで一挙に体感できてしまうなんて、 もはや想像を絶している。

ただ一つ残念だったのが、現実の前にチェーンが繋がらなかったことをわざわざ明記してしたことだろうか。

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