しらみつぶしの時計/法月倫太郎/祥伝社文庫

寡作の探偵小説家の法月倫太郎の1998~2008の作品を集めた短編集。

「使用中」は作り出した密室内部に戻りたくても戻れないという犯人の心理を扱う密室ジャンルの別面を描こうとした作家とそれを理解できない駄目編集者のやり取りが、実際の事件になってしまうという笑えそうで笑えない話。密室物の変形パターンとしては面白いと思う。

「ダブルプレイ」は交換殺人ものの変形パターン。

「素人芸」は腹話術もの。これも笑えそうで笑えない悪戯心がある意味恐い。

「盗まれた手紙」は実際に出来る暗号/復号通信が面白いパズルもの。盲点を推理するのは楽しいゲーム。

「猫の巡礼」はミステリではないが、猫好きには堪らない一篇。猫たちが一生に一度聖地へ巡礼する習性が存在する世界を描くファンタジー。

「幽霊をやとった女」はハードボイルド風なのか。外套を燃やされた主人公が雇い主の女に外套をもらい、女の夫を尾行した結果、恐るべき結末になるという話。

「しらみつぶしの時計」はパズルもの。一分ごとに分かたれた1440個の時計の中から実際に正しい時計を探せ!というゲーム。作者は回答からゲームを作ったんだろうなと思うが、こういうゲームも楽しい。

「トゥ・オブ・アス」は「二の悲劇」の短編版。至福のはずの偶然が生んでしまった悲劇。まとまりはとてもいい。

他に「イン・メモリアム」や「四色の問題」も収録している。
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テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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