磔刑の調べ/柚木まい
2009年10月初版の住田忠久編「明智小五郎読本」に収録された乱歩パスティーシュの短編が本作である。
パスティーシュを読むときは、特にまず最初のシーンに対して着目する。一体どんな話なんだろう。明智読本だから明智は出てくるにせよ、戦前の話なのか、 戦後の話なのか? 二十面相なのか? 少年探偵団なのか?などなど基本的なストーリーの根幹となる部分をいち早く把握したいからだ。
本作の場合は墓参りのシーンから始まるが、知りたいことは数ページで把握可能となっている。奥村源造の墓参りに来ている文代さんが主役なのだ。 舞台は戦前、明智夫人の明智文代が古い知り合いと出会ったことから、過去を思い巡らせるところから始まる。
まず全体的に言えば文代さんの意外な一面も含む内面の描写が秀逸で思わず引き込まれてしまうほどだ。 明智文代と言えば確かに育ちを考えると、明智夫人に収まるには紆余曲折あったことも容易に想像が付くが、それを自然に描写してしまうところが実に素晴らしい。(本当に処女作なのかと疑ってしまうほど)
そしてやはり「明智小五郎読本」収録作だけあって、主役とも言える明智小五郎、小林芳雄、怪人二十面相の活躍場面も 短編の限られたページの中に、それぞれ凝縮された形で収録されており、何とも贅沢すぎる構成となっている。
収録本の初版発行から二年経過した今ごろ言うのも何とも差し出がましいが、 青年物、少年物どちらのファンにせよ、乱歩原作ファンならば一読する価値が十二分にある完成度の高いパスティーシュ作品のため、ぜひお勧めしたい。 (この完成度を考えると、乱歩パスティーシュを集めたアンソロジーにも収録されることも期待したいところだ。読者を明らかに選ぶ「明智小五郎読本」に収録だけでは余りにも惜まれるのだ)
パスティーシュを読むときは、特にまず最初のシーンに対して着目する。一体どんな話なんだろう。明智読本だから明智は出てくるにせよ、戦前の話なのか、 戦後の話なのか? 二十面相なのか? 少年探偵団なのか?などなど基本的なストーリーの根幹となる部分をいち早く把握したいからだ。
本作の場合は墓参りのシーンから始まるが、知りたいことは数ページで把握可能となっている。奥村源造の墓参りに来ている文代さんが主役なのだ。 舞台は戦前、明智夫人の明智文代が古い知り合いと出会ったことから、過去を思い巡らせるところから始まる。
まず全体的に言えば文代さんの意外な一面も含む内面の描写が秀逸で思わず引き込まれてしまうほどだ。 明智文代と言えば確かに育ちを考えると、明智夫人に収まるには紆余曲折あったことも容易に想像が付くが、それを自然に描写してしまうところが実に素晴らしい。(本当に処女作なのかと疑ってしまうほど)
そしてやはり「明智小五郎読本」収録作だけあって、主役とも言える明智小五郎、小林芳雄、怪人二十面相の活躍場面も 短編の限られたページの中に、それぞれ凝縮された形で収録されており、何とも贅沢すぎる構成となっている。
収録本の初版発行から二年経過した今ごろ言うのも何とも差し出がましいが、 青年物、少年物どちらのファンにせよ、乱歩原作ファンならば一読する価値が十二分にある完成度の高いパスティーシュ作品のため、ぜひお勧めしたい。 (この完成度を考えると、乱歩パスティーシュを集めたアンソロジーにも収録されることも期待したいところだ。読者を明らかに選ぶ「明智小五郎読本」に収録だけでは余りにも惜まれるのだ)
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テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学