太平洋飛行島/蘭郁二郎

蘭郁二郎、昭和15年「青年」8月号に発表した作品。軍事小説である。

従軍記者の主人公は太平洋上でA国と対峙する艦艇に乗り込んでいた。今にも決戦間近という時だ。そこで海上に信じられぬものを目にする。太平洋飛行島、それは東京湾の羽田空港のことだったのだ。
移動式空港、空母をも陵駕するその科学力。しかも野菜栽培などでビタミン不足などにも対処できるという。
A国との戦いは始まるが、驚嘆すべき科学力! テレビジョンによる中継、煙幕の無効化、無人爆撃機、無機物・鉄を溶かす細菌兵器。そして科学には関係ないが、海軍保有の太平洋飛行島には陸軍機も共同作戦をとっているという驚き。
勝利は勝利、大勝利だったが、最後に意外なオチが待っていたという話。

昭和15年ともなると、日米開戦まで2年を切っているだけに、時局柄、軍事小説の類が増えてくるのは仕方がないことなのだう。
それでも蘭郁二郎の妄想とは素晴らしいものだ。軍事小説の体裁こそは取ってはいるが、平成復刻版黒崎義久氏の解説を読むと、太平洋飛行島とは現在は一部実用化されているメガフロートに相当するものらしい。
無電操縦という無人飛行機による戦争というものは恐ろしいものだが、これも現在の米軍が適用しているようなものなのだろう。最後のオチも含めて、何とも現代的なものよ、と思ってしまった。
それにしても昭和15年の時点で、米軍の物量差、戦略差などよくわかっているようにも見えるだけに、日本を救うには科学力こそ重要と思っていたのだろうか。
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テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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