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あぶない叔父さん/麻耶雄嵩/新潮社

まさにタイトルどおり、やばすぎる叔父さんなのが、もはや笑うところ。トリックもバカバカしいものが目立つ。危ないまでのシュールなお笑い探偵小説と言える。

短編集であり収録作は以下の通り
・失くした御守
・転校生と放火魔
・最後の海
・旧友
・あかずの扉
・藁をも掴む

主人公は高校生の優斗なのだが、この主人公も相当やばい。エゴイストというよりは優柔不断、行動力があるのかないのかわからんが、二股やろーなのだ。彼女ともどうみても相性悪そうなのに付き合ってるという。しかも他人にはあまりが関心がないのに、何でも屋の叔父さんだけには絶大な信頼を持っているという。

帯には探偵のいない本格ミステリとあるが、金田一耕助をディスったかのような叔父さんこそが探偵役とも言える。
ただトラブルメーカー、いやその言葉では収まらないヤバさなのだが、とにかく叔父さんに悪意がないことは「最後の海」、そして「藁をも掴む」を読めばわかるだろうが、まさにうっかりもので天然だから余計に危ない叔父さんなのだ。

正直、この手の短編集でよくあるように最後にどんでん返しやら、天罰やらが世界がひっくり返るようなことがあるのかなとも思っていたので、なんだこれは? と逆に思ってしまったのが、読後直後、それから叔父さんの真意を探りたくもなって奥深いかと思ったら実はそうでもなさそうだ。叔父さんの行動原理が既にユーモアを超えているのだ。それは主人公も同様なのだが。

主人公の運命は最後の「藁をも掴む」があからさまに暗示しているのかもしれない。

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