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江神二郎の洞察/有栖川有栖/東京創元社

私自身が学生だったころから愛読していたシリーズの短編集だから感慨深かった。
その割に購入して半年以上放置となっていたのはご愛敬だ。

収録作は次の通り。
瑠璃荘事件、ハードロック・ラバーズ・オンリー、やけた線路の上の死体、桜川のオフィーリア、 四分間では短すぎる、開かずの間の怪、二十世紀的誘拐、除夜を歩く、蕩尽に関する一考察

全体的にアリスたち英都大学推理小説研究会のメンバーによる日常の謎に挑むことになる短編集になっている。

「瑠璃荘事件」は望月周平が下宿でちょっとした泥棒として疑われている状況を、論理的に真犯人を当てるというもの。

「ハードロック・ラバーズ・オンリー」はロック喫茶の顔見知り女性に町中で声が届かないという不思議について。

「やけた線路の上の死体」はレビュー作の鉄道アリバイもの。望月周平の故郷和歌山県南部町が舞台。

「桜川のオフィーリア」は英都大学推理小説研究会の創設者が登場する。過去の水死体として出てきた少女の写真を持っていた真意とは?

「四分間では短すぎる」は隣の公衆電話から聞こえてきた表題のセリフについて、そこから物語を推理する

「開かずの間の怪」は幽霊屋敷物。不可思議な怪奇現象に直面する面々。

「二十世紀的誘拐」は望月、織田の担当教授の家の叔父の絵画が盗まれるという事件。犯人は弟とわかっているが、その二十世紀的犯罪とは?

「除夜を歩く」はアリスと江神のみが登場するが、題材は望月の書いた犯人当て小説。二人の会話が楽しい。

「蕩尽に関する一考察」はマリア登場から入部までの顛末。古本屋主人が浪費して回りに金をばらまく理由は?



全体的に言えるのは、単なるミステリの短編集として見たらきっと物足りないのは間違いないが、 アリスとその先輩たちとの深い繋がりを楽しめるのは間違いないというものだ。

江神、望月、織田、アリス、マリアとこの面々の話が読めるだけで不思議な喜びを感じている。

今現在のファンはもちろん、かつて学生アリスシリーズファンだったならば、きっと懐かしくも楽しめる短編集なのは間違いない。

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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