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八月の魔法使い/石持浅海/光文社文庫

このような珍しいタイプのミステリを読むのは私にとっては珍しい。なにせ警察や探偵が出動するような殺人事件も起こらなければ、 犯罪すら発生していないのだ。

超一流とは言わずとも東証一部に上場する洗剤メーカという会社組織において起こった奇妙な事件が全てである。
世間が盆休み中という中で行われた温い議題の役員会議だったはずが、突如として現れた存在しない「工場事故報告書」が紛糾の元だった。 しかも同時に総務部においても同じ「工場事故報告書」を部長に問いただす退職目前の係長が現れ、二つの流れはやがて一つになっていく。 その最中に別々に巻き込まれた主人公とその恋人。果たして真相とその結末とは? そして魔法使いとは何なのか?

会社というミステリにとっては特殊な環境下において、会社員という現実的なポジションの元で、「工場事故報告書」という存在してはならないものがなぜ存在しているのかという謎を、あくまで論理的に解き明かしていく主人公の成長していく様が見ていて頼もしくも楽しい。
トリックは無くても、ロジックのみで解き明かすミステリは構築できるという良い例とも言える。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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