セリヌンティウスの舟/石持浅海/光文社文庫
200ページ強の推理小説。既に何冊かは読んだことある信頼出来る作家でかつ、新幹線で読み終える分量ということで購入。
評価としては満足行く作品で寝てしまうこともなく一気に読了。
文庫版とはいえ、このレベルの作品がいまだに初版一刷目というのが納得出来ないとすら感じさせる。
タイトルにもなっているセリヌンティウスとは、走れメロスで、身代わりとなって監獄で待ち続けるメロスの親友 メロスが時間までに帰ってくるのをただひたすら信じている。
この話は、その走れメロスの登場人物のように本格ミステリであり、死亡事件を扱ったものにも関わらず、 6人の登場人物たちが互いを信じて止まないという特異な設定を成功させている点が奇妙な新鮮さを感じさせる。
場所は石垣、スキューバーダイビングのツアーに参加した 他人同士の社会人男女3名ずつの計6名は、悪天候などの要因もあって、海に死と隣り合わせとなったものの、 互いが手を繋ぎあい、輪となることで生き残ることに成功した。
そして、それが彼らの相互の関係を至高の信頼関係にまで高めることになったという前提から始まる。
ところがその信頼の絆で結ばれた6人の中の一人が、6人が寝泊まりしている最中に自殺してしまうという事件が発生してしまう。
警察は自殺と処断するが、青酸カリの薬瓶のフタが閉まっていたことで、信頼関係に満ちた仲間内だけに生じる疑問が発生してしまうが・・・。
先に記したように悪意が排除され、善意のみが残った異端とも言えるアイデアと設定のうまさが光る本格ミステリとなっている。
惜しむらくは、作品に息づいたものに対して、最終ページの最後の行動が気味悪いくらいの不協和音を感じさせることだろうか。最後の雑さには合点がいかない。
評価としては満足行く作品で寝てしまうこともなく一気に読了。
文庫版とはいえ、このレベルの作品がいまだに初版一刷目というのが納得出来ないとすら感じさせる。
タイトルにもなっているセリヌンティウスとは、走れメロスで、身代わりとなって監獄で待ち続けるメロスの親友 メロスが時間までに帰ってくるのをただひたすら信じている。
この話は、その走れメロスの登場人物のように本格ミステリであり、死亡事件を扱ったものにも関わらず、 6人の登場人物たちが互いを信じて止まないという特異な設定を成功させている点が奇妙な新鮮さを感じさせる。
場所は石垣、スキューバーダイビングのツアーに参加した 他人同士の社会人男女3名ずつの計6名は、悪天候などの要因もあって、海に死と隣り合わせとなったものの、 互いが手を繋ぎあい、輪となることで生き残ることに成功した。
そして、それが彼らの相互の関係を至高の信頼関係にまで高めることになったという前提から始まる。
ところがその信頼の絆で結ばれた6人の中の一人が、6人が寝泊まりしている最中に自殺してしまうという事件が発生してしまう。
警察は自殺と処断するが、青酸カリの薬瓶のフタが閉まっていたことで、信頼関係に満ちた仲間内だけに生じる疑問が発生してしまうが・・・。
先に記したように悪意が排除され、善意のみが残った異端とも言えるアイデアと設定のうまさが光る本格ミステリとなっている。
惜しむらくは、作品に息づいたものに対して、最終ページの最後の行動が気味悪いくらいの不協和音を感じさせることだろうか。最後の雑さには合点がいかない。