眼/橋本五郎
眼/橋本五郎
橋本五郎、「新青年」昭和6年4月増大号掲載の短篇。
これはまぁまぁ面白く読める作品だ。ゾッとする恐怖が意外な所からヌッと現れるのは凄い。眼科病棟での悲劇であり、錯誤の悲劇であった。この疑心のベクトルが悲劇の元になるとは意外性の怪奇探偵小説だ。眼科病棟の眼患者達は目がよく見えないばかりに恐るべき陥穽に落ち込まされるのである。動機は、動機は、人間らしいものであったが、やはり利用の恐ろしさと誤解の悲劇が生んだ悪夢であった。
なお現在、論創社「橋本五郎探偵小説選(1)」で読むことが可能だ。
(2002/10/20初稿[妖鳥の涙])
テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学