動かぬ鯨群/大阪圭吉
動かぬ鯨群/大阪圭吉
「新青年」昭和11年11月号発表の大阪圭吉の本格短篇。
これは一言、圧巻大トリックだ。一年前に沈没捕鯨船で死んだと思われていた男が妙に恐怖に苛まれながら妻子の元に戻ってきたが、悲し過ぎる事に間もなく殺されてしまった。犯人はわかっているが、その船は出航済である。と、その背後に隠れた恐るべき謎があまりにも圧倒的なのだ。東屋所長の推理が冴え渡るこの一篇はこの大トリックとラストの動かぬ鯨群のグッと来る悲哀で、一大成功を収めていると言えるだろう。
なお、現在、創元推理文庫「銀座幽霊」等で読める。
(2002/3/20初稿[妖鳥の涙])
テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学