船富家の惨劇/蒼井雄

船富家の惨劇/蒼井雄

昭和13年の春秋社の書下し刊行の、蒼井雄の誇る、いや戦前の日本探偵小説界が誇りうる長篇本格、至高の最高傑作である。
そのパフォーマンスたるや海外本格にも全く遜色しないものである。この大阪、南紀、飛騨、東京と広大なスケールで展開される絶大なるアリバイトリックはまさに圧巻そのものであり、クロフツとフィルポッツに挑戦し、ある意味勝利の凱歌を上げている恐るべき完成度。
なお、現在 創元推理文庫「名作集2」 で読むことが出来るので、とりあえず未読の方には一読をお奨めする。

(2001/10/29初稿)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

執念/蒼井雄

執念/蒼井雄

蒼井雄の短篇で、「月刊探偵」昭和11年7月号に発表したもの。
鉄道線路・踏切近くに起こった恐ろしい悲鳴。そしてそこに倒れている死体…。しかしその後必然的に通りがかった医師によると、既に死後硬直状態で悲鳴の主では絶対に無いというのだ。ではこの悲鳴の正体とは一体なんだというのか。それが執念の為し得る恐怖だったのである。
本格物としてはあまりにも犯人指摘のラストまでが急すぎるというのが残念ではあるが、謎の答えは絶大的な効果である。
なお現在は光文社『 「探偵」傑作選(幻の探偵雑誌9) 』で読むことが可能。
(2001/12/13初稿)


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瀬戸内海の惨劇 国書刊行会 蒼井雄

戦前の長篇「瀬戸内海の惨劇」と、戦後の短篇「黒潮殺人事件」を所収。
「瀬戸内海の惨劇」は傑作本格長篇であり、「船富家」に匹敵すると言っても全く誇張無しである。
鮎哲の「黒いトランク」を彷彿せざるを得ない柳行李の複雑な動きに翻弄され、思いもよらぬ恐るべき真相。惜しまれるのは、仕方がなかったとは言え解決が急ピッチ過ぎる事と難を言えばどんな小説にも当て嵌まる事である例の不合理な点少々。
当然、総合評価は圧倒的な本格である点には変わりはないのである。恐らく何も知らずに読むと、戦後の作品と思うくらいの、戦前らしからぬ作風だ。「黒潮殺人事件」もよく考えた蒼井らしい時間トリックで、面白い。
(2001年6月読了)

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