明智小五郎事件簿Ⅰ/江戸川乱歩/集英社文庫
やはり江戸川乱歩を読むと、凄みも小説としての読みやすさも群を抜いていると思わずにはいられない。
収録作は「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」。特に「心理試験」「屋根裏の散歩者」の 完成度は改めて読んでも圧倒的だ。
本シリーズは時代の流れを読めるので、その点も楽しい。
乱歩の世界管理人による読書記録ブログ版です。 主に推理小説(ネタバレ無し)を記載していきます。
江戸川乱歩、「キング」昭和6年12月から翌1月に掛けて三回分載の中篇本格探偵小説。
主人公達は血まみれの犬を見かけた。それだけでもギョッとするというのに、しかもそのうちの一匹が人間の右腕をくわえていたのだ。そこから女の死体を発見するが、それが顔のない死体。藁人形の謎も絡んでくる本事件。物的証拠、アリバイ不成立、そして動機、これらの点からある男が容疑者になったが!? トリックはドイルからの借り物ながらも、恐るべき陥穽だ。
なお現在、光文社文庫「 目羅博士の不思議な犯罪」等で読める。
(2003/9/25初稿[妖鳥の涙])
テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学
江戸川乱歩、「探偵文芸」大正15年1月号掲載のほんの短い短篇探偵小説。
主人公と友人は小川の側のじめついた所にそれを発見した。それは毒草、普通の人には全く効かない無意味な草だが、ある目的の為には有用な毒草なのだ。それは堕胎なのである。戦前堕胎罪が重罪だった時の本作はその恐怖を描いているのだ。主人公と友人の毒草談義、実に思わずなのか声が大きかったのだから、主人公は戦慄を覚えずにはいられなかったのだ。
なお現在、創元推理文庫「D坂の殺人事件」等で読める。
(2003/9/25初稿[妖鳥の涙])
テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学
江戸川乱歩、「大衆文芸」大正15年3月号発表の本格短篇。
それは衝動的な銃殺事件。銃音も誤魔化せる状況で指紋等の物的証拠は皆無。それでも起こる犯人の疑心。すぐ外では被害者の弟が野球遊戯を楽しんでいる。そのボールが家の側まで飛んできた事こそが灰神楽の陥穽へ繋がっていくのであるのだが……。しかし考えれば考えるだけこの灰神楽トリックは恐るべき物を秘めていたではないか!?
なお現在、創元推理文庫「人でなしの恋」等で読む事が可能である。
(2003/9/25初稿[妖鳥の涙])
テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学