薔薇悪魔の話/渡辺啓助

「新青年」昭和13年1月号発表の作品。

妻の女帯が空き巣に盗まれたことから薔薇悪魔のカタストロフィを招いてしまうという奇怪な話が本作である。

魅惑的な薔薇の帯、残念ながら妻には似合わなかったが、盗まれてしまった。しかしその後、喫茶店でその帯を身につけている女性に出会ってしまう。 しかも魅惑的なまでにマッチしているのだから驚きだ。

そこからが薔薇悪魔の話。薔薇狂の暗躍などもあり、薔薇狂の悲劇を知ってしまう主人公なのだ。 全てが終わった後の最後の文章に、美しい女性と薔薇の刺の誘惑について不可思議な心境が語られているのがこの作品の全てなのかもしれない。本作もまた渡辺啓助らしい味を出した作品と言えるだろう。

なお現在、ミステリー文学資料館編の光文社文庫『悪魔黙示録「新青年」一九三八』などで読むことが可能となっている。

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

偽眼マドンナ/渡辺啓助

偽眼マドンナ/渡辺啓助

渡辺啓助のデビュー作。人気俳優・岡田時彦名義で「新青年」昭和4年6月号発表短篇。
[いれめマドンナ]と読む。偽眼の美しさに魅入られた芸術家の話で、異国情緒も溢れる名品である。またその底辺に流れる悪魔の美学には感銘すら覚える。偽眼、人工物だからこそ美しいという感性。そして持ち主が変わりうる不思議。刳り抜きたる心理、そしてそれが真眼でないかと疑われた怪異。ラストも含めて、効果的に幕を閉じる。
なお現在、国書刊行会「聖悪魔」等で読める。
(2001/10/27初出[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

吸血花/渡辺啓助

吸血花/渡辺啓助

渡辺啓助、「新青年」昭和9年1月号発表短篇。
芸術家の弟が突如服毒自殺したと聞いた統計士の兄は引き取りに行ったのだが、そこがまた湖畔の素晴らしい田舎の温泉場。そこにムシトリスミレの洋装断髪嬢がいたのである。そこには虚無の空気が流れていた。自殺を誘う空気であったかも知れない。しかし遺書にあったインクの染みは聖書にも。これが示す謎とは果たして重大であったのだ。幸福こそ呪われてしまう最大の対象だというのである。
なお現在気軽に読める本はない。数年前まではちくま文庫「渡辺啓助集」等で読む事が可能であっただけに残念である。
(2002/6/8初出[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

血笑婦/渡辺啓助

血笑婦/渡辺啓助

渡辺啓助、「新青年」昭和5年6月号掲載の怪奇幻想短篇。
恐るべきは死の婚礼式。それが童貞女リカたる一枚の画がもたらした、フランスで唯一の画家としての成果が生んだ悲劇的ワンシーンであった。フランス帰りの男は、共に愛人にしていた日本のある姉妹からの金を全て使い果たしていた上に連絡も全く取らず…、そんなこんなで日本に帰っても極度に恐怖を感じてしまうが…、そこで待っていた悲劇とは!? 
なお現在気軽に読める本はない。数年前まではちくま文庫「渡辺啓助集」や角川文庫「爬虫館事件(新青年傑作選)」等で読む事が可能だっただけに残念なところだ。
(2002/3/10初出[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

殺人液の話/渡辺啓助

殺人液の話/渡辺啓助

渡辺啓助、「新青年」昭和12年6月号発表の短篇。
満州に行っている息子の知人というのが、殺人液なるものを息子が発明し、更にその資金が要ると言ってきたという。その真偽はかなり疑わしいものだが、とりあえず小金で追い返すも、残ったるは殺人液の瓶。それを中心に下宿のおかみである主人公の心理が微妙に変化していくのだ。まぁまぁの作品だが、啓助らしい感じはあまりしない作品だと言えるだろう。さて、殺人液と三十円札の秘密はいかなるものだったか!? 
なお現在読める本は無いと思われる。
(2002/10/31初出[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
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