久生十蘭「従軍日記」/久生十蘭/講談社文庫

決して久生十蘭ファンというわけでもないが、江戸川乱歩の同時代作家、新青年作家というところで 昔から注目はしていた。その中でも小説ではなく、本書を手にしたというのは 大東亜戦争時の従軍記者について知りたいという気持ちも働いたからである。

目次は以下の通りとなる。
第1章 日本・爪哇(自昭和十八年二月二十四日 至昭和十八年四月二十二日)
第2章 サランガン湖畔(自昭和十八年四月二十二日 至昭和十八年六月一日)
第3章 出発まで(自昭和十八年六月二日 至昭和十八年七月十二日)
第4章 チモール島クーパン警備隊(自昭和十八年七月十三日 至昭和十八年八月四日)
第5章 アンボン島第一砲台(自昭和十八年八月四日 至昭和十八年八月十二日)
第6章 ハロンの航空隊(自昭和十八年八月十三日 至昭和十八年八月二十日)
第7章 ニュウギニアにて(自昭和十八年八月二十日 至昭和十八年九月一日)
第8章 第九三四海軍航空隊(自昭和十八年九月一日 至昭和十八年九月九日)

最初の三章は、これでいいのか、と突っ込まずにいられなくなるくらい、これは自然体? それとも何か外地に酔ってるのか? しかしそれでも これが外地の戦地から離れた場所での実情だったのだろう。覚悟が空回りすぎた日常がある意味、真実を教えてくれる。

中盤以降はまるで別物のような緊張感に包まれ、従軍記者とはこれほどだったのかという様相が凄まじいまでの覚悟が鬼気迫る、それでも素直な文体で記録されており興味深い。


テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

黒い手帳/久生十蘭

黒い手帳/久生十蘭

久生十蘭、「新青年」昭和12年1月号掲載の短篇。
机の上の黒い手帳、それにはある男の不適な研究成果が綴られている。それにまつわる話なのだ。四階の夫婦、五階の主人公、六階の手帳の男、手帳の男は余りにも暴れていたのだ。10年間の大成、恐るべき公式、それこそルーレットシステムだ。そして不幸な事に困窮した夫婦もそのシステムを研究していたが万策尽きていた中に手帳の男の実践。狂気に充ちた不幸が不幸をを呼ぶ本作、その結末とは如何なる物だったか!? 
なお現在、岩波文庫「久生十蘭短篇選」等で読める。
(2002/4/21初稿[妖鳥の涙])


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海豹島/久生十蘭

海豹島/久生十蘭

久生十蘭が「大陸」昭和14年2月号発表の短篇。
そこは絶海の孤島だ。海豹達の戦場だ。地獄の静寂と極寒だ。主人公が小屋に訪れてしまった事が、そして大自然の気紛れが予定の破綻を意味し、浄化の結果を招いてしまう。そこに住む男は悪夢のような爆発事故の生き残り。そして膃肭獣の雌をまさに狂気錯乱なまでにこよなく愛しているのである。呪詛渦巻く海豹島での何という犯罪だったことか、そして何という危険回避の奇怪なトリックだったか。畏怖すべきまでの真相だ。
なお現在、国書刊行会「定本 久生十蘭集(3)」等で読める。
(2001/11/21初稿[妖鳥の涙])


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怪奇探偵小説傑作選―3 久生十蘭集 ちくま文庫 久生十蘭 日下三蔵編

「黒い手帳」「湖畔」「月光と硫酸」「海豹島」「墓地展望亭」「地底獣国」「昆虫図」「水草」「骨仏」「予言」「母子像」「虹の橋」「ハムレット」、附録として、都筑道夫の「久生十蘭――『刺客』を通じての試論」、「ハムレット」の原型「刺客」を収録。

全体としてどこが怪奇探偵なのだ、と思うような作品が多い。面白かったのは「ハムレット」及び「刺客」、「黒い手帳」「海豹島」、今回は再読の「地底獣国」、ってところだろう。
(2001年7月読了)

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