エディプスの恋人/新潮文庫/筒井康隆

「七瀬ふたたび」のあと、どういうわけか七瀬は高校の職員をしていた。その理由が一切告げられず、かつての思い出に浸ることなども一切無く、物語は進行していく。
超能力者でもないのに、過剰な点を含む防衛的意味で不思議現象が発生する男子生徒。七瀬は調査している内に恋をしてしまった。宇宙意志や神の概念が表立って登場し、テレパス七瀬とも干渉し合うというあまりにも壮大な物語。

七瀬シリーズは全て切なさを感じるわけだが、本篇のそれはまた違った威力を持って読者にも届くのである。
(2006年5月読了)

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七瀬ふたたび/新潮文庫/筒井康隆

家族八景の続編。
七瀬は家政婦をやめていた。
物語の冒頭は大雨の中の列内。ここで七瀬ははじめて他の超能力者を認知し、出会いを重ねていくことになる。
特に三才児で能力を自覚していないノリオとの出会いは大きかった。しかし超能力者との出会いの反動とでも言おうか、その後、本篇では謎のアンチ超能力組織と生きるか死ぬかの争闘にまで発展してしまう…。
このアンチとの闘争がどうも唐突に今までの物語を急変させすぎてしまい、しかもその手法に中途半端感が漂っていることでいまいち本作の評価を落としているように思える。
全体的な出来映えというか、奇妙なことをいうようだが、リアリティな面白さという意味では「家族八景」が遙かに上と言えよう。
むろんテレパスに留まらない超能力が登場するため超能力小説という意味では本作であるし、活劇的面白さも本作ではあるが。

最後に何度も言われてることだが、解説で七瀬三部作ラストの「エディプスの恋人」のネタバレをしている解説執筆者には最悪と評価を与えておこう。
(2006年5月読了)

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家族八景/新潮文庫/筒井康隆

最近は些細な事情で超能力に凝っている。そのためテレパスの火田七瀬を主人公にした本連作短篇集に白羽の矢が立ったわけだ。

本作は18歳から20歳にかけての乙女・七瀬がお手伝いさんというか女中というかを通じて、八件の家族に巡り歩き、そのそれぞれの家族心象を記した小説である。
職業についてはテレパス曰く、同じ場所に定着しないことで能力を悟られにくくするという工夫らしい。見つかったら破滅というのは彼女の心に深く染みついている。
にしても、心が読めると言うことは恐ろしいことである。登場する家族が異常なものばかりだということもあるが、出て来るどの家族も心の中は浅ましいものであり、衝撃的ですらある。
それらは時に七瀬に冷ややかな感想を抱かせ、時には七瀬を苦しめるが、七瀬も異常なテレパスであるだけに興味深い精神を覗いたり自己保身を計ったりして干渉も試みる。
特に興味深いのはその道の専門家と対峙することになった「紅蓮菩薩」であった。
(2006年4月読了)
作者の筒井康隆は大阪市出身のSF作家。

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