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フライ・バイ・ワイヤ/石持浅海/創元推理文庫

ほんの少しだけ先の近未来世界を舞台にした青春SFミステリ。

将来のロボット工学を担う卵を育てる埼玉工科大学附属高校に通う主人公の特待生クラスに 二足歩行のロボットの転校生がやってきた。

前代未聞の話であったが、学校に通えない障害者がロボットを遠隔操作するという社会実験とのことだが、 そのロボットとのぎこちないながらも徐々に慣れていく学生生活のさなか、ロボットの背中が血にまみれ、 クラスメートが殺害されるという事件が発生する。


近未来SFとしてロボットという非日常要素を登場させ、学校を舞台にしたSF青春ミステリ。
ミステリとしても、青春小説としても、アシモフ正統のロボットSF小説としても、 それぞれ実際はそんなことはあり得ないのだが、 重みが不足しているお陰で軽く読めてしまうだけに気楽に楽しめる作品。
それぞれのジャンルも見事な融合をみせている。
読後感も良いからミステリを読んだ後になりがちな憂鬱な気分にもならない。


心理描写も基本はいいが、全体的に軽いだけに本格的なミステリとしては少々難があるのが残念な点か。 果たしてどうして事件は発生してしまったのだろうか。そして犯人は?

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トラップハウス/石持浅海/光文社文庫

大学の同期10人が就職も決めて卒業間近になって同期キャンプ旅行を思い立った。
舞台は埼玉県秩父の長瀞町。まぁ場所は重要ではないが、重要なのは泊まる場所のトレーラーハウス。
この小説のほとんどをしめる舞台となるのがトレーラーハウスとなのだ。

トレーラハウスに一度入るや決して抜けられなくなった9人。扉も窓も内側から開くことが出来なくなってしまったのだ。 まさに孤立した密室状況。
そこで不幸にもついに死人をも現れ、次から次へとネチネチとした画鋲などの攻撃が加えられる。現在ミステリで難関となっている携帯電話による救援も望めず、完全に孤立無援となってしまった9人に待ち構えるのはいったいなにか?

心理をすり減らしていく様がよくわかる、せこい小道具のネチネチとした陰湿な攻撃者による攻撃。攻撃者からの悪意しか感じられない不可思議なメッセージに対して、知恵を絞って攻撃される理由を考えて行く登場人物たちだが、それが序章で書かれた過去の顛末につながっていく。。。さて、犯人とその目的はいったい何か?

地味にも一気に読ませる魅力を持つ本格ミステリ。

見えない復讐/石持浅海/角川文庫

これは変わった形態のミステリだ。

大学という法人格に復讐を果たすため、主人公は仲間二人を引き連れてベンチャー企業を設立することにした田島裕也。
そのスポンサーになることになったのが小池規彦だ。この人の心理を読む能力にも長けた頭脳明晰な二人が主人公となっており、 この二人を中心に物語りは展開していく。

復讐までの流れの中で、自殺名所にばらまかれたセミの抜け殻やベビー服、香水、花束から導き出される効果など細々した復讐や従業員の習作ゲームなどについての推理が続く前半戦から始まって、 怒濤の後半戦まで、一気に読ませる推理小説の枠を超えた佳作と言えるだろう。

扉は閉ざされたまま/石持浅海/祥伝社文庫

倒叙ものの本格探偵小説。

まず冒頭で殺人シーンが描かれ、被害者は風呂で溺死ということになった。そして密室が構成される。ただ密室トリックは大したものではない。

ここは成城、高級住宅街のペンションである。登場人物は7人。約10年前の大学時代における同サークル仲良し組の同窓会だ。冒頭で出てきた加害者、つまり主役も、被害者も当然含まれる。ペンションのオーナーの弟や探偵役も含まれる。いずれにせよ7人しか登場しないため、話は非常にわかりやすい。

主役の加害者伏見亮輔と探偵役の碓氷優佳は似たもの同士で、冷静沈着タイプ。ただしホットかコールドかという歴然たる差異があるという。この関係は探偵と犯人という関係も異色に彩ることになる。

冒頭で密室トリックは重要ではないと述べたが、密室そのものはタイトルにも示されているように非常に重要だというのが面白い。動機においても隠し事はない。全ては示されている中で、なかなか思いつかない動機だ。そして犯行目的と手段だ。全てが一貫していて美しさすら感じる。

とにかく人物描写なども含めて、満足いく一冊といえるだろう。

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

八月の魔法使い/石持浅海/光文社文庫

このような珍しいタイプのミステリを読むのは私にとっては珍しい。なにせ警察や探偵が出動するような殺人事件も起こらなければ、 犯罪すら発生していないのだ。

超一流とは言わずとも東証一部に上場する洗剤メーカという会社組織において起こった奇妙な事件が全てである。
世間が盆休み中という中で行われた温い議題の役員会議だったはずが、突如として現れた存在しない「工場事故報告書」が紛糾の元だった。 しかも同時に総務部においても同じ「工場事故報告書」を部長に問いただす退職目前の係長が現れ、二つの流れはやがて一つになっていく。 その最中に別々に巻き込まれた主人公とその恋人。果たして真相とその結末とは? そして魔法使いとは何なのか?

会社というミステリにとっては特殊な環境下において、会社員という現実的なポジションの元で、「工場事故報告書」という存在してはならないものがなぜ存在しているのかという謎を、あくまで論理的に解き明かしていく主人公の成長していく様が見ていて頼もしくも楽しい。
トリックは無くても、ロジックのみで解き明かすミステリは構築できるという良い例とも言える。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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