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はだかの太陽 ハヤカワ文庫 アイザック・アシモフ 冬川亘・訳

「鋼鉄都市」の直接の続篇。

イライジャ・ベイリとR・ダニール・オリヴォーのコンビが、ひょんな事から惑星ソラリアで起こった殺人事件を依頼された。ソラリアは人間一人に一万台ものロボットという極端な世界で、地球人はが外気を恐怖するのと同様、ソラリアは人を見る事を恐怖し、常に対人関係は眺める事によって成立していた人間性皆無に近いとしか言えない世界。そこで殺人事件が起こり、近くには原則1を遵守出来なかった衝撃からか電子頭脳に支障をきたしたロボット一台とともに、死体が一つ。眺めずに見ていたのは一人だけ。しかしその一人にも不可能と思われた犯罪。

このSF本格ミステリのトリックもまた「鋼鉄都市」同様に、いや些かアンフェアなような気もするが、意外な盲点を衝いた物であり、絶大な面白さなのだ。
(2002年8月読了)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

ファウンデーションの誕生 ハヤカワ文庫 アイザック・アシモフ 岡部宏之

アシモフの最後の長篇。
「ファウンデーションへの序曲」の直接の続篇で、心理歴史学の具体的発見から、完成までを描く。そして、シリーズ第一作の「ファウンデーション」に繋がっていく話。
セルダンの心理歴史学は完成前からピンチの連続。セルダンは物語中で、首相にさえもなっている。その半面、帝国の衰亡の著しさ、そして心理歴史学とは開発中の同時代を生きる一般人にとってみれば、耐え難い存在であるがために、セルダンの命を狙う輩は後を絶たない。それでも未来を得るため、数々の苦難を乗り越えて心理歴史学が完成していく様は感動すら覚えるだろう。
既にその前後を知っている我々は。この小説は内容は希薄かも知れないが、銀河帝国興亡史シリーズファンからすれば、絶対見逃せない作品である。よく言われることだが、往年のセルダンとアシモフの姿がダブるというでも注目。
(2004年4月読了)

テーマ : オススメ本!!
ジャンル : 本・雑誌

ファウンデーションへの序曲 ハヤカワ文庫 アイザック・アシモフ 岡部宏之

銀河帝国興亡史シリーズを読み続けてしまった以上は、読まずにいられない作品だろう。
シリーズ第1作「ファウンデーション」そのものの創造者ハリ・セルダンが心理歴史学の理論の論文を発表した所から実践の礎を作り始めるまでの話。それにしても私が「地球」を読んでから一年半も経っていたとは我ながら時の流れの速さを感じてしまう。これなら一瞬のうちに2万年後以上先のセルダンの時代がやって来ても不思議ではない(って飛躍しすぎだ・・)
はともかくとして、セルダンが帝国首府のトランターにやって来、時の皇帝に謁見。心理歴史学理論を利用されそうになるが、と言う展開で、そこからヒューミンやドース、レイチと言った非常に長けた人物と仲間になりながら、トランターの中の異色文化の中を、帝国の魔の手から、逃避行していく。
ハッキリ言ってSF的興味は全く稀薄だが、ミステリー的興味は相変わらず充たしてくれる。もちろん間違った意味での確信犯で解りきった興味ではあったが、彼等のやり取りが楽しめた一方、もう一方の最後のセリフが興味深かった。ゆえに前作もという形になるのが面白い。それにつけてもストーリーの妙はさすがとしか言えまい。思わずページが進みまくるのだ。
(2004年4月読了)

テーマ : 本読みの記録
ジャンル : 本・雑誌

宇宙気流 ハヤカワ文庫 アイザック・アシモフ 平井イサク

空間分析家だったと記憶している男は記憶を失っていた。場所は惑星フロリナ、トランター帝国はじめとする全銀河系で高級繊維を作り出す唯一の星。しかしそこは一部の貴族階級、というか別星人によって完全に支配されていた。発展途上のトランター銀河帝国にも目の上のたんこぶ的なサーク人に。

ミステリタッチで、記憶喪失の男を巡っての推理も展開されるが、それは謎の解答は唐突で、気に入るどころではない。
SFとしても、関心するような所は特になく、この設定なら宇宙SFで有る必要性も少ないように思える。記憶喪失の必然性くらいのものだろうか。
とはいえ、事件は全銀河帝国にも関係するSF的規模まで展開するのは事実。宇宙気流の巻き起こす物とは一体何かの興味なのだ。これは宇宙SFだけの問題と言えよう。・・・まぁ、別にこれも地球規模でも全く問題なく設定出来るが・・・。
(2002年12月読了)

テーマ : 書評
ジャンル : 本・雑誌

宇宙の小石 ハヤカワ文庫 アイザック・アシモフ 高橋豊・訳

宇宙の小石とは、地球の事である。
放射能にまみれて、トランター率いる銀河帝国から差別を受けている地球。そうまだ人は住んでいた段階。
GE827年。そこへ1949年、つまりこのアシモフ処女長篇が書かれた時代からタイムスリップしてしまった一人のおじいちゃん。彼が後の銀河帝国の運命を決定づける大事件に巻き込まれていくのだ。
これを読むと、1980年代以降のアシモフ長篇が、ますます自作のアイデアの焼き直しで、新味が少なかったんだなと思い知らされるが、それはそれとして、面白い展開。
地球絶対主義者に支配され独裁的な地球は六十の掟などによって、宇宙に蔑まれながらも偏狂な世界を築きあげていた。その世界に飛び込まされ、マインドタッチなる超能力を身につけた主人公、銀河帝国の考古学者、地球の科学者父娘の活躍はいかにという展開! ミステリー的手法も多く取り入れられたのが本作なのである。

それにしても既に宇宙には二億の有人天体があるわけだから、スペンサーは滅んでいるんだろうな、とか、鋼鉄都市はどうやって無くなったのか、とか考えると楽しい想像が出来る。
(2002年10月読了)

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

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