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翳ある墓標 扶桑社文庫 鮎川哲也

表題作と長篇と翻訳、SF系エッセイを収録。
翻訳はハッキリ言って読むのが苦痛なほどの原作ぶりだったが、表題作は哀しみを背負いながらの作品で、暗号の必要性こそは謎であったが、概ね楽しむ事が出来た。ノンシリーズ、アリバイ崩しもの。
(2002年12月読了)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

夜の訪問者 出版芸術社 鮎川哲也

鬼貫警部全事件3。
収録作品は「金貨の首飾りをした女」「夜の訪問者」「いたい風」「殺意の餌」「MF計画」「まだらの犬」「首」「城と塔」。

まず、「金貨の首飾りをした女」。殺人者は“いとこ”という捨てセリフを聞かれていたゆえ、容疑者として宇部三郎は警察に任意同行させられそうになったが、どうにかこうにか逃れ、本妻の宅へ。宇部は本妻に頼り真犯人を追及するが・・・。というのが序盤から中盤で、終盤では真犯人の姫路のバスに乗っていたというアリバイ崩しに鬼貫丹那が迫っていく名中篇。乱歩の「ぺてん師と空気男」を彷彿させるシーンも非常に面白いと言えるだろう。

「夜の訪問者」は、ホステスの女が殺害された。それで不倫をしていた男が目撃者がいたこともあり、犯人と目された。しかも死人に口なし。その不倫男は既にこの世にはいないのである。不倫男の妻だった女が探偵局に依頼し、事件はどう転んだだろうか? 事件現場の矛盾点を衝き、トリックを見破る作品。出前トリックが登場する点では、「5つの時計」も思い出させる。

「いたい風」は、ロシアの美人妻を持つ男が、肥えた女の同僚にロシア語を教師を頼まれる所から始まる。教えて欲しいのはその同僚の従兄弟の評論家だと言う。家庭教師を受けたしばらくあと、評論家が痛風にかかったため、学習先を評論家宅に切り替えた。痛風患者だから安全なはずだった。が、これが悲劇の始まりなのは推理小説の常であった。例によって、完全と思われた犯罪は、些細なミスによって崩れてしまうのである。被害者が痛風だっただからこそ起こってしまった失敗とは? 「殺意の餌」は、出世を目指す男が、その出世欲ゆえに秘密を共有している元ホステスの婚約者を殺してしまう話で、倒叙もの。

「MF計画」は漫才コンビの解消を願うが、結成時の成り行きと弱味ゆえに解消できない男が相方を殺害する倒叙物。見事な時間差アリバイトリックは、本当の基本中の基本のミスで破綻してしまうと言うお話。

「まだらの犬」は毒入りウイスキーボンボン殺人事件という発端。その後、別の殺人死体も見つかると言う展開。前半と後半がちぐはぐな点が気になる所だろう。アリバイトリックは見事な物である。 「首」は商店街に次々と掛ける電話攻勢。しかも大量発注の悪戯構成なのだ。その最中、庭から見つかりしは首無し死体という発端。それにつけてもあのトリックは美事である。言葉というのは不思議なものだ。

「城と塔」は長篇「風の証言」のオリジナルになった中篇。二つのアリバイトリックが中心に添えられていて、それらが前半のスケッチのトリックの象徴が城、そして後半の写真のトリックが塔を象徴しているというわけだ。どちらも美事だが、後半のトリックは秀逸さはさすがとしか言えないだろう。そして長篇で「風の証言」と付けたセンスも美事。
(2004年4月読了)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

不完全犯罪 出版芸術社 鮎川哲也

鬼貫警部全事件2。
時間差のマジック「五つの時計」、意思無きアリバイ「早春に死す」、黒いトランクを思い出す展開「愛に朽ちなん」、心中の中の錯覚「見えない機関車」、倒叙鉄道アリバイもの「不完全犯罪」、固定観念と言う常識の錯覚「急行出雲」、単純なだけに完全に近いトリックの極致「下り〝はつかり〟」、「古銭」、「わるい風」、「暗い穽」及び、中篇版「死のある風景」「偽りの墳墓」を収録。
原型中篇版二篇はいずれも興味深い読み物であり、長篇版の後に読んで味わうべきだろう。
(2003年11月読了)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

碑文谷事件 出版芸術社 鮎川哲也

鬼貫警部全事件1。
全てを読み返したわけではないが、と前置きをしつつ。

まず「楡の木荘の殺人」「悪魔が笑う」と満州ハルビン時代における鬼貫警部シリーズが二本。
「楡の木荘」では鬼貫は顔見知りの貴族娘から電話で呼ばれる。しかも楡の木荘で異常事態が起こったらしいのだ。人が倒れ白いペンキをあびているという不思議。そしてメッセージを残しての自殺事件があるもそこに矛盾が・・・。
「悪魔が笑う」の方は悪魔の笑い声と共に銃殺事件が発生! しかも最期の言葉より犯人も明か。しかし不可思議な事にその名指しの犯人には絶対的なアリバイがあったのである、と言う展開。
いずれも論理色豊かで佳作であろう。

「碑文谷事件」は鉄道アリバイで絶妙な錯覚が秀逸。
「一時一〇分」は正当な面白みに欠けるトリックで明らかなる凡作。
「白昼の悪魔」時間トリックが面白いアリバイ物。
「青いエチュード」は乱歩の十字路(映画「死の十字路」)に関わらせた完全犯罪倒叙物。
「誰の屍体か」は発射直後の拳銃、紐、硫酸の瓶の三種が別の三人へ送られ、その後、それを使ったと思われる惨死体が発見されるが、誰の屍体かで紛糾する作品で、犯罪の隠し方が圧巻の佳作。
中篇版「人それを情死と呼ぶ」は当然長篇と同じプロットではあるが、犯人を知っていても、楽しめるという証明をしてくれた作品。腐乱した情死体から導かれる推理と、意外な真相。
(2003年6月読了)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

青い密室 出版芸術社 鮎川哲也

星影龍三全集-II。
「白い密室」「薔薇荘殺人事件」「悪魔はここに」「青い密室」「砂とくらげと」「茜荘事件」「悪魔の灰」と短篇版「朱の絶筆」を収録。「白い密室」「悪魔はここに」「薔薇荘殺人事件」あたりが特に良かった。「朱の絶筆」は長篇と比べると興味深い。
(2000年7月読了)

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

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