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博士邸の怪事件/浜尾四郎

博士邸の怪事件/浜尾四郎

浜尾四郎の第一長篇で元は昭和6年にラジオドラマとして書かれた。それだけにセリフばかりで、会話だけで構成されてるに等しい。
藤枝真太郎初登場長篇でもある本篇、死亡推定時刻と実際証言が余りにも食い違うという奇々怪々な展開で、しかも容疑者達の証言は妙な所で一致しているのだ。まさに当局は惑乱するばかり。と、中途までは論理もそれなりに面白く、どういう解決をしてくれるものか、期待させるが、結末のヘンテコさにはガッカリしてしまうこの反動だ。
なお、現在春陽文庫「博士邸の怪事件」で読める。
(2002/1/28初稿[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

正義/浜尾四郎

正義/浜尾四郎

浜尾四郎、「新青年」昭和5年4月号発表の法律的探偵小説。
正義がどこにあるというのか、法の正義の為に犠牲になる必要はあるのか!? ある銃殺事件、無罪主張している男が栽培に付せられる。と言うのもちょっとした誤魔化から検事等に自白をさせられてしまったからだ。しかし法廷では無罪を主張。主人公弁護士もそれを信じ、証拠不十分で無罪を訴える。これぞ法の正義。しかし友人の持ち出した目撃証言はその正義を考えさせる悲劇を含んでいたのである。
なお現在、論創社「浜尾四郎傑作選」等で読める。
(2002/10/14初稿[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

殺人鬼/浜尾四郎

殺人鬼/浜尾四郎

浜尾四郎による金字塔立つ偉業の本格長編が本篇である。
昭和6年「名古屋新聞」連載の本篇は藤枝真太郎・名探偵物。
屡々ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」の焼直しに過ぎないとか一言批判をされるが、それは大間違も甚だしい。確かにその影響は濃厚である。しかしそれはいわばこの「殺人鬼」の粉飾に過ぎず、見せかけだけの物だ。その実体は「グリーン家」も仰天の創意溢る大本格なのである。
現在、創元推理文庫「浜尾四郎集」で読めるので、お奨めだ。
但し「グリーン家」ネタバレがあるので、先にこちらの名品から。
(2001/10/30初稿[妖鳥の涙])


テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

救助の権利/浜尾四郎

救助の権利/浜尾四郎

浜尾四郎、「文芸倶楽部」昭和6年4月増刊号に発表短篇。
これも考えさせる法律小説である。今でも十二分に通じる論理。人は赤の他人を救助する義務がないどころか、権利も無いというのだろうか。干渉が悲劇を呼んだケース。確かに自分勝手な自己満足を得るためだけの安易すぎる援助はより以上の不幸を招きかねないのだ。まず救助の資格を得なければ……。小説家が考えた理解出来る自殺幇助者を起訴!? の筋から展開するのである。
なお現在、論創社「浜尾四郎傑作選」等で読める。
(2002/5/16初稿[妖鳥の涙])


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ジャンル : 小説・文学

彼が殺したか/浜尾四郎

彼が殺したか/浜尾四郎

浜尾四郎、「新青年」昭和4年1月号発表中篇。
ああ、法律よりも至高な動機、その前には法律も力を失ってしまう。夫婦の最期の言葉と兇器を持った男、そしてあからさまな呪いの自白。確かに死刑になるのも当然である。しかし法律は認めても本当に彼が殺したのか? 復讐鬼の心の悪魔は囁いていた。それは二重の復讐。法律を呪い、信じていた女への呪い。まさに命かける動機だ。悪魔の前には法律も踏み台に過ぎぬ。変態性欲が絡んだこの事件の真相は人には裁けぬ…。
なお現在、創元推理文庫「浜尾四郎集」等で読める。
(2001/12/17初稿[妖鳥の涙])


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