完全なる首長竜の日/乾緑郎/宝島社文庫
植物人間と意思疎通を図ることができる医療機具「SCインターフェース」を使って、自殺未遂をした弟と意思疎通を図る主人公たる姉。物語は現実と虚構を入り交えて進行するが、そこに意外な真実が現れる。
映画化もされたSFファンタジー小説の佳作。
ジャンルとしては憑依の正体、弟の正体については唐突感が否めない。説明も不足しているため、この点をもって、SFやミステリとは言えないというのが感想だ。だからこそミステリ風味もあるSFファンタジーというのが相応しいジャンルだろう。
とはいえ、首長竜というキーワードや過去の情景を繰り返すなど効果的なリフレインといい、現実世界と夢(SCインターフェースを介した虚構世界)を交錯させ、 何のための話なのかよくわからないにも関わらず、前半から不思議に読ませる構成であり、SCインターフェースという近未来医療器具以外は現実と変わらない世界だけに、物語世界には容易に入りこむことができる。 またそれだけに現実らしい真実は残念な点でもあるだろう。ラストまで現実と虚構の交錯というのは本物語には相応しいものとも言える。
個人的には博多~新大阪の新幹線でちょうど読み終わる分量だった。深く考えると重くて仕方がないものの、読書中は軽く読める作品であるので、旅のお供にお勧め。
ジャンルとしては憑依の正体、弟の正体については唐突感が否めない。説明も不足しているため、この点をもって、SFやミステリとは言えないというのが感想だ。だからこそミステリ風味もあるSFファンタジーというのが相応しいジャンルだろう。
とはいえ、首長竜というキーワードや過去の情景を繰り返すなど効果的なリフレインといい、現実世界と夢(SCインターフェースを介した虚構世界)を交錯させ、 何のための話なのかよくわからないにも関わらず、前半から不思議に読ませる構成であり、SCインターフェースという近未来医療器具以外は現実と変わらない世界だけに、物語世界には容易に入りこむことができる。 またそれだけに現実らしい真実は残念な点でもあるだろう。ラストまで現実と虚構の交錯というのは本物語には相応しいものとも言える。
個人的には博多~新大阪の新幹線でちょうど読み終わる分量だった。深く考えると重くて仕方がないものの、読書中は軽く読める作品であるので、旅のお供にお勧め。