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はじめに

このブログでは、戦前の探偵小説、戦後の本格推理小説、平成の新本格ミステリ、欧米黄金時代(戦前)の本格ミステリを中心した、各種小説作品についての感想を記していきます。

基本的には左側のバーにある「カテゴリ」から作家名を選択すれば、その作家の作品の感想記事を読むことが出来る構成にしています。

なお戦前探偵小説作家の中でも、江戸川乱歩と甲賀三郎作品については、別途専用のホームページを作成しており、そちらに小説の感想も記していますので、そちらにもお立ち寄りいただければと思います。

江戸川乱歩:乱歩の世界 | 甲賀三郎:甲賀三郎の世界


また歴史物の書物についての感想等は以下の専用ページに記しています。

古代史の夢 | 中世史関連 | 近現代書の所見



旧読書記録は「乱歩の世界」内の1コンテンツとして設けていましたが、既に殆どの記事は、このブログまたは上記のいずれかに記載を転記済となっています。

密室殺人ゲーム・マニアックス/歌野晶午/講談社文庫


前2作の続編であり、それらを読んでおかないと楽しみが大幅に減ってしまうので注意が必要だ。
よって単品として読むと事件の内容自体はかなり微妙なものになるのだが、続編として読むとたまらなく面白い。そうきたかとばかりの仕掛けがたまらないのだ。
果たして今回もお馴染みの5人組の密室殺人ゲームはどのようなものになり、どのような結末になってしまうのか。

小酒井不木探偵小説選/小酒井不木/論創社

少年科学探偵の塚原俊夫くんシリーズを集成した一冊だ。
不木のイメージとは程遠い本格探偵小説志向の作品群であり、少年ものとは思えないクオリティとなっている。

それというのもあまりにも名探偵の塚原俊夫くんなのだが、科学探偵というだけに、紫外線で真偽を見極めたり、埃から証拠を得たり、倒叙探偵小説的な作品もあったり、トリックを交えつつも論理的な展開がとても少年ものとは思えない出来栄えなのだ。

その俊夫くんを筆頭に、ワトスン役の柔道家の兄さんと警視庁の刑事たるPのおじさんの3人がレギュラーとなっている。
現在もやっている名探偵コナン的に少年が探偵をし、刑事が協力を乞う展開はなかなか面白い。
もっとも俊夫くんに少年らしさをほとんど感じることはないわけだが、それでも大人では絶対に有り得ないというワトスン役との関係性もまた良いのだ。

まほろ市の殺人/祥伝社文庫

倉知淳、我孫子武丸、麻耶雄嵩、有栖川有栖が、春夏秋冬に同じまほろ市を舞台にした中編を書いた作品集。

倉知淳は春「無節操な殺人」、マンションのベランダから突き落とした筈の見知らぬ他人は消え去っていた。
という怪奇事件、そしてバラバラ殺人事件。凄惨な事件とは裏腹に何ともライトな雰囲気で進むある意味ホラーな作品だ。まぁ軽い

我孫子武丸は夏「夏に散る花」 処女作のみ一応書店に並んだ程度の作家に届いたファンレターがもたらした幸せと崩壊。
我孫子らしいほのぼのとダークの同居。奇妙なことだが、読後感は意外にも悪くない。

麻耶雄嵩の秋「闇雲A子と憂鬱刑事」 前2作は同じまほろ市内の事件という感覚でいられたが、この作品だけはぶっ飛びすぎていて、 感想に困る。摩耶作品の中では上位に位置しそうなくらいにやりたい放題。
真幌キラーなる殺人鬼を巡る事件に次ぐ事件。闇雲A子も無茶苦茶なら憂鬱刑事も大概だ。そして無茶苦茶な結末に至るまで。

有栖川有栖は冬「蜃気楼に手を振る」。兄弟姉妹という点で何となく我孫子作品と双璧を為している。世界線も摩耶以外は近しい世界と 認識可能だ。過失の殺人で兄を殺してしまった弟の物語。ご都合主義的なところもあるが、視野の広がり方はみごと。

また、同じ夢を見ていた/住野よる/双葉社

幸せとは何か!を探し求める本作だ。小学生の女の子が主人公。
自分の考えをハッキリ持ちすぎて賢すぎるがゆえに、学校では友達がおらずに孤独 な主人公だが、放課後は、尻尾の曲がった彼女と共に、アバズレさん、南さん、おばあちゃん といった友達の下へ訪れる。そこでヒントをもらいつつ、という展開。


果たしてどこまでが夢で、どこまでが現実だったのだろう。
しかし幸せは何かを考えるうえで、そしてそれぞれが幸せとは何かを知り、それを実感したことで、 お互いに救い救われたステキな関係ばかり。
それは桐生君についても同じだ。


どうでもいいことかもしれないが、一つ気になるのが荻原君、彼はどんな人間になったのだろうか?


膵臓の感動ほどはどっと一気に押し寄せるものはないけれども、意味も含めた深さという感動は増し増しであり、洗練度も加わったこともあり、本当にステキな作品でした。


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