はじめに

このブログでは、戦前の探偵小説、戦後の本格推理小説、平成の新本格ミステリ、欧米黄金時代(戦前)の本格ミステリを中心した、各種小説作品についての感想を記していきます。

基本的には左側のバーにある「カテゴリ」から作家名を選択すれば、その作家の作品の感想記事を読むことが出来る構成にしています。

なお戦前探偵小説作家の中でも、江戸川乱歩と甲賀三郎作品については、別途専用のホームページを作成しており、そちらに小説の感想も記していますので、そちらにもお立ち寄りいただければと思います。

 江戸川乱歩:乱歩の世界 | 甲賀三郎:甲賀三郎の世界


また歴史物の書物についての感想等は以下の専用ページに記しています。
 
 古代史の夢 | 中世史関連 | 近現代書の所見



旧読書記録は「乱歩の世界」内の1コンテンツとして設けていましたが、既に殆どの記事は、このブログまたは上記のいずれかに記載を転記済となっています。

The Book(ジョジョの奇妙な冒険第4部外伝)/乙一/集英社

実に4年以上放置していた本をようやく読んだ。
最近他のノベライズ版などが登場していたことによって、本を存在を思い出したのだ。

ジョジョの奇妙な冒険第4部の外伝作品である。
「The Book」というのは主人公のスタンドの名前。終盤にようやく命名されることになったが、まさに小説版に相応しい能力となっている。
一端を記せば、主人公の全ての記憶が私小説のように記録されるというものであり、 その能力ゆえか、主人公は能力に気づく前も、孤児院で育った幼児期から驚異的な記憶力を誇っていた。

4部の外伝というだけあり、東方仗助、広瀬康一、虹村億泰、岸辺露伴などの主要キャラはそろい踏みでそれぞれ活躍をしてくれる。 特に戦闘シーンの描写を含めて億泰の活躍ぶりは期待以上と言ってもいいだろう。
むろんキャラの特性を生かした描写なので、それぞれのキャラに対して違和感もほとんど感じることは無かった。
プロットはジョジョの奇妙な冒険らしい、読者にも十分に感情移入可能な現実と非現実の狭間のホラー、奇妙な怪奇が因縁となっており、 広瀬康一と岸辺露伴が血まみれの猫を発見するところから動き出す。

作者のジョジョ原作愛に満ちた小ネタなども楽しく、ジョジョファンを十分楽しませてくれる作品となっている。


一度記事が消えたのでかなり簡略化した内容になってしまったが、とにかくジョジョ4部ファンなら読んで損がない作品なので、お勧めしたい。


テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

今はもうない/森博嗣/講談社文庫

例の西之園萌絵と犀川先生のシリーズ第8作。
実に久しぶりに3年ぶりにこのシリーズを読んだ。2011-2012帰省の新幹線の供である。

結論から言えば、シンプルisベストといったところだろうか。無意味な複雑さは少なく、それでいてミステリとしての完成度は高い。ページ数が500を超える割には殺人事件は序盤の一件のみに留まっている。

しかし実は言う必要も無いのだろうが、別途シリーズ物特有の楽しさが残っている。それでもって最後まで引っ張るような形となっている。

本格ミステリとしてはシンプルでわかりやすく、シリーズ物としては楽しい趣向に満ちている。実に読ませる作品である。


西之園萌絵が犀川先生に語るお話。事件は西之園の別荘の近くにある別の別荘で発生している。
娯楽室と映写室という小さなトンネルで繋がった2つの独立した部屋のそれぞれで、姉妹の死体が発見されるという のが主要な事件だ。しかも2部屋は密室状態となっており、いわゆる密室殺人を扱ったものとなっている。
しかし様々な密室殺人のトリック案件が考え出されては廃棄されるという本格ミステリーならではの醍醐味を経て、 到達する真相には皆が沈黙する。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

悪魔黙示録「新青年」一九三八 探偵小説暗黒時代へ/光文社文庫

昭和13年、先年夏に発生した日華事変の影響で、探偵小説が戦争色が濃くなってきたターニングポイントとなった年である。
本書はその昭和13(1938)年の「新青年」収録作を取り上げた、戦前探偵小説の中級者以上向け(少なくとも入門者向けではない)の作品集となっている。

収録作品は以下の通り。小説作品については別途感想記事を記載しリンクしておいた。
本書の半分を占める「悪魔黙示録」が長編であり、他の小説作品は短編となっている。


感想を別途記載しなかった評論では、妹尾アキ夫の「オースチンを襲う」が興味深い記事となっている。 この時期でも国家間の仲は決裂必至の緊張感に満ちつつある英国のオースチンが来日したことに伴い、 その作品を愛して翻訳紹介に努めていた翻訳家の妹尾アキ夫が憧れのオースチンと会見した祭の記録記事となっており、様々な点で当時の情報に満ちているのだ。

全体として昭和13年は十分に従来の探偵小説を描けているように思える。確かに上記の「オースチンを襲う」や「唄わぬ時計」、「蝶と処方箋」には 戦時色の臭いをかぎ取ることは出来るが、まだそれほど強烈なものではないし、昭和12年以前の作品でも感じ取れるレベルのものに過ぎない。

他の作品に至っては特に以前の作品との大きな違いを感じ取ることは出来なかった。

つまりは昭和13年の内地はまだまだ平時の延長に過ぎず、従来型の探偵小説はまだまだ健在だったのだ。
しかし本書が示す通り、確かに序章ではあった。昭和14年以後の「新青年」の探偵作家の作品がどのように変貌していったのかこそ見物であるからして、 ぜひ本シリーズは昭和14年、昭和15年と続けていってもらいたいと期待したいところだ。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

蝶と処方箋/蘭郁二郎

 「新青年」昭和13年12月号発表の作品。

色眼鏡をかけてソワソワ周囲を伺いながら不思議な行動を取る女性に気を取られつつも 手に入れたのは不思議な処方箋の書かれた紙片。薬の処方箋としてはデタラメなことから解読してみると、恐るべき暗号文のようなのだ。 しかし果たして不思議な落とし主の女性の宅は蝶だらけのマニアックさ。このあべこべはいかなるものか?

ユーモア味あふれる暗号小説で、蘭郁二郎らしい女性とのやり取りもまた楽しい。

なお現在、ミステリー文学資料館編の光文社文庫『悪魔黙示録「新青年」一九三八』などで読むことが可能となっている。

テーマ : ネタバレ無し探偵小説
ジャンル : 小説・文学

最新記事
ブログランキング
にほんブログ村 小説ブログへ

人気ブログランキングへ
スポンサーリンク
プロフィール

アイナット

Author:アイナット
WEBサイト「乱歩の世界」の読書記録ブログ版です。
ネタばれ無しの感想を書きためていきます。

月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
ブログランキング2
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード